新薬開発の実情と進化
新薬開発の実情と進化日本国内で新薬を開発するまでに約10年以上の期間を必要として、開発費用は数百億円といわれています。候補となる物質の発見から多くの提携機関と協力しながら開発を進めていきますが、従来と比較して飛躍的な医学的進歩をした現在においても、その多くが途中で研究を断念され新薬開発の成功率は3万分の1と言われるほどです。
1929年にイギリスの細菌学者A.フレミングによって発見された世界初の抗生物質であるペニシリンはそれまで死を待つしかなかった感染症である肺炎や敗血症、破傷風などから多くの人を救いました。
1つの新薬を開発するのは大変な労力ですが、完成すれば世界中の人々を救うことのできる非常に社会的意義の大きい事業であることはお分かりいただけるかと思います。
進化する新薬現在ではバイオテクノロジーが大きく進化したことで
「バイオ医薬品」や「ゲノム創薬」と呼ばれる分野も台頭してきました。
バイオ医薬品遺伝子組換え技術や細胞培養技術によって創られた、タンパク質を有効成分とした医薬品を指します。医療機関では「遺伝子組み換え医薬品」と呼ばれることもあります。
バイオ医薬品の多くは注射薬ですが経口医薬品として効果を発揮するもの存在します。従来の医薬品では十分な効果を期待できなかった治療法の改善や、いままで治療することのできなかった病気の治療薬として注目を集めています。こうした治療薬として活用されるだけでなく、がん診断に用いられる腫瘍マーカーなどにも活用されるなど、多くの分野で活用されています。
ゲノム創薬ヒトゲノムが解析されたことで、ゲノム情報を使って病気の因子になる部分を特定し、その特定遺伝子が作り出すタンパク質と結合する分子や抗体から薬を作り出す方法です。これにより、副作用を抑えた投薬治療が可能になり患者様の負担を最小限にした治療が可能になりました。
これは患者様の負担を減らすだけでなく、特定の部分に限定した開発ができることから、研究開発にかかる工数が大きく削減出来ることになります。また、mRNAやDNA、酵素やタンパク質も対象となるため薬1万種類の新薬を作れる可能性を秘めているため、今後の医療発展に向けて大きな期待が寄せられています。